2004年10月25日

E.E.E.002

 三日目にして期日オーバー。書いてるのは26日です。
 主人公組の名前を暫定。峰野都樹(みねのみやき)綾識沙彩(あやおりさや)ってことでひとつ。多分実在する名前。たぶん。
 原稿用紙4枚。

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 時刻は朝。平均的な学生なら、よろよろと体を引き摺って起きだす頃だ。
 何はともあれ目が覚めてしまったので、枕元に置かれている時計に手を伸ばして、正確な時間を確認しようとする。寝転んだまま手を伸ばしているせいで、その辺の物がベッドの下に転げ落ちたりするのは何時もの事。ついでに自分の頭の上にも落ちてくるのも、やはり何時もの事だ。なので気にしない。
 そうして、散々モノを掻き分けて手にした時計によると。
 七時四十六分。予定よりも三分三十秒ほど早かった。
「……寝直そう」
 朝の三分は何物にも換え難く貴重だ。その時間を無為に消費するのは、七つの大罪より冒涜的で愚かしい事。これは、今味わっている苦しみを僅かでも軽減させるために使うべきだ。
 と、僅か三秒で自己弁護を終了すると、彼は本格的に寝直そうと毛布を被り、
「起きろー――!」
 闖入者の蹴撃を受けて意識を手放した。

 彼女、綾識沙彩(あやおりさや)は、いわゆる幼馴染だった。
 何時からの付き合いかと言えば、間違いなく生まれた時からの付き合いだし、ある意味生まれる前からの腐れ縁だと言えない事もない。馴染みも馴染み、正真正銘の幼馴染そのものだ。
 生まれる前からの縁と言っても、別に深い事情があるわけではない。要するに親同士が非常に仲の良い、それこそ生涯の親友とでも言うべき間柄で、自分達の生前から家族ぐるみのお付き合いだった――とそれだけの話だ。そんな関係だから、家が隣同士なのも、その間にあるべき隔壁の代わりに通路が作られていたりするのも、当然といえば当然の事だった。
 なので、こうやって朝起こしに来る事も十分ありえるんだろうけど。
「幼馴染の女の子が毎朝起こしに来るってのは、あまりにもベター過ぎやしないか」
「誰に言ってんの」
 そう溜息を吐きながら言うのは、件の沙彩だ。
 琥珀色の瞳がまず、何よりも印象に残る。
 長く、腰まで届く髪は癖のないストレート。それも眼と同じく、薄い色彩を湛えて輝いていた。
 女性にしては若干長身の、しなやかさを感じさせる肢体を隠すのは紫紺を基調にした制服。どこか実直な、聖職者(クレリック)の礼装のようなその服は、島国離れした容姿の彼女に良く似合う。
 美しい、と評するのは違う。強い存在感を持った少女。言うなればそんな娘だ。
 確かに顔の造形は整っているし、スタイルも良い。間違いなく美人だ。それは老若男女、誰でも認めることろだろう。
 しかし、彼女の本質――魅力はまた、別のところにある。
 強い、周囲を否応無しに引き込む存在感。そんなものが彼女には備わっていた。
 例えば、街で何気なく視界に入った時、ついそちらに目をやってしまったりする。男性なら僅かでも意識せずには居られなかったり。同姓ならば、憧憬や嫉妬の視線をついつい浴びせてしまったり。彼女が声を発すれば、それに意識を向けずには居られなかったり――。
 人の注目を、何をせずとも自然に集めるある種の能力。
 カリスマ――そう表現されるものを持つ少女。
 彼女、綾織沙彩は、そんな印象的な女の子だった。
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posted by Titel at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | E.E.E. | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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